皮膚科

湿疹・皮膚炎

皮膚炎皮膚科を受診される際に最も多いのが湿疹や皮膚炎です。汗や乾燥、アレルギーなど、さまざまな刺激によって起こり、内科疾患などが関係している場合もあります。また、アトピー性皮膚炎もここに入ります。
湿疹は、斑点やブツブツ、水ぶくれ、膿を伴うものなどがあり、皮膚炎では赤み、乾燥、皮膚が厚く・硬くなるなどがあります。

湿疹治療の基本

湿疹は、さまざまな刺激により起こります。化学物質や紫外線、汗、乾燥、寒冷、飲食物、薬剤、そして肌への圧迫なども湿疹の原因になります。さらに、体調やストレスも発症に大きくかかわっています。そのため、湿疹の治療では患者さまのお話をじっくりうかがっています。その上で原因がはっきりしないものに関しては、血液検査やアレルギー検査、パッチテストなどで原因を探っていきます。

 脂漏性湿疹

皮脂腺が発達している脂漏部位にできる慢性的な湿疹です。赤みやかさつきが主な症状ですが、かさぶたになることもあります。原因としては、食生活やストレス、また皮膚の常在菌であるマラセチア菌が関与しているとされています。

治療

ステロイドの外用といった湿疹の治療を基本に、抗真菌剤の外用でマラセチア菌に対応します。また、ビタミン剤の内服も効果が見込めます。

あせも

汗を出す管が詰まって、皮膚内の組織に汗が漏れ出てできる湿疹です。大量の汗によって生じるため、夏場の発症が多くなっています。白く小さな水ぶくれができる水晶様汗疹、痛痒く赤い丘疹(皮膚の隆起)ができる紅色汗疹、皮膚がなだらかに盛り上がる深在性汗疹という3種類がありますが、深在性汗疹はほとんど見られません。
子どもに多いというイメージがありますが、更年期、高温環境の職場など汗の量が多い大人もかかりやすい病気です。

治療

汗の成分を肌に残さないことが基本です。汗をかいたらこまめに拭き取り、シャワーや入浴で清潔を保ちます。水晶様汗疹でしたら、これで数日後には収まっていきます。
紅色汗疹の場合には、ステロイド外用薬による治療も必要です。また、細菌感染を起こしている場合には抗生物質を使用します。

接触性皮膚炎

一般的には「かぶれ」と呼ばれています。患者さまのお話をじっくりうかがった上で、パッチテストなどで原因物質を探していきます。

治療

皮膚に原因物質が残っている可能性がある場合には、きれいに洗い流します。こすらず流水で流して、タオルで水気をそっと吸い取ります。原因や症状に合わせて、抗アレルギー剤内服、ステロイド外用剤、漢方薬、保湿外用剤などの治療を行います。

アトピー性皮膚炎

アレルギー体質の方に起こる、痒みのある湿疹です。特に、IgEが関与しているI型、リンパ球が関与しているIV型はアレルギーとの関連性が高いとされています。皮疹とその分布が特徴的であり、改善と悪化を繰り返し、皮膚のバリア機能が低下します。悪化を起こす誘因には汗、花粉、乾燥、ストレス、疲労などがあり、ホルモンとの関連も深く、女性は生理前に症状が重くなるケースも珍しくありません。子どもの頃にアトピー性皮膚炎で、成長とともにいったん収まった場合でも、引っ越し、就職、転勤、結婚などの環境変化によって再発することもあります。

治療

アレルギーと関連が深いため、血液検査を行ってアレルギーの原因物質や程度を調べるとより正確な治療や予防につながります。
できるだけ早く症状を改善するために、炎症を起こしている部分にはステロイド外用薬や非ステロイド外用薬を使います。抗アレルギー剤の内服、漢方も効果が見込める場合があります。また、食生活の改善が大きな効果をもたらすこともよくあります。
症状が治まってからも皮膚のバリア機能は低下しているので、刺激のない石鹸を泡立てて手のひらで優しく洗う、しっかり保湿する、刺激のない衣類を選ぶなども重要です。ストレスをうまく解消し、たっぷり睡眠をとり、適度に運動し、規則正しい生活を心がけ、症状改善や予防につなげましょう。

にきび

にきび過剰に分泌される皮脂や角質成分が毛穴をふさぎ、それによりにきびができます。毛穴が塞がっただけの「黒にきび」「白にきび」は治りやすいのですが、炎症を起こした「赤にきび」は適切な治療を受けないと色素沈着や跡がいつまでも残ってしまう可能性があります。にきびは大人になってからもできることがよくあります。顔にできるため気になると思いますが、触らずにできるだけ早く皮膚科を受診してください。

治療

ベピオゲルやディフェリンゲル、その2つを合わせたエピデュオゲルなどの薬剤で毛穴の詰まりを改善していきます。炎症を起こしている場合には、抗生物質の外用を行いますが、膿や腫れには抗生物質の内服も有効です。漢方薬では、炎症の鎮静化を目的としたものの他に体自体の不調を治癒することでにきびを改善するものがあります。
大人のにきびは、睡眠不足やストレス、ホルモンバランス、紫外線、食生活、不規則な生活など、さまざまな原因によってできているケースが多いため、生活スタイルの改善も再発防止には重要になってきます。

蕁麻疹(じんましん)

強い痒みがある赤いふくらみができますが、数時間から1日経つと消えてしまいます。また、皮膚表面には変化がないので虫刺されと簡単に区別できます。ふくらみは出たり消えたりを繰り返すことがあります。蕁麻疹には急性と慢性があり、急性はアレルギー反応として起きている可能性があります。その場合、血液検査で原因を特定できる可能性がありますが、その他の場合は原因がわからないこともよくあります。ストレスや自律神経の乱れ、風邪などの感染症、皮膚への刺激などによって起こっていることもよくあります。

治療

抗ヒスタミン剤を内服します。症状の強さや範囲の広さなどにより、ステロイドの内服、抗ヒスタミン剤やステロイド剤の注射も検討されます。

皮膚感染症

足いぼやとびひ、頭シラミ、水虫などがあります。いぼには非感染性の首のいぼ(アクロコルドン)や老人性いぼ(脂漏性角化症)もありますが、感染性のいぼと同じ液体窒素による治療が可能です。

いぼ(尋常性疣贅)

ヒトパピローマウイルスが、皮膚にある小さな傷などから感染してできるいぼです。周囲に広がることや、他の部位にも感染が起こる可能性があるため、できるだけ触らずに皮膚科を受診しましょう。
足の裏にできたものはウオノメのようにひらべったいですが、他の部位にできたものは突起しています。

治療

液体窒素冷凍凝固療法で治療します。-196度の液体窒素でいぼの組織にダメージを与えて除去し、1~2週後にいぼが残っていたら同じ治療を繰り返します。大きないぼは何度も治療を受けないと除去できないことが多くなります。また、時間が経つとウイルス感染で別の場所にいぼができてしまうリスクも高くなりますので、放置せず早めに皮膚科を受診してください。

水いぼ(伝染性軟属腫)

ポックスウイルスの感染によるいぼです。小さく、滑らかで白っぽいのが特徴です。免疫がまだない子どもにできやすく、成長に伴って自然治癒が期待できます。ただし、治癒まで数年かかる可能性もあります。痒みや範囲などによって治療の必要があるケースもあります。また、数が多いと1度では取り切れない場合もあります。早めに皮膚科を受診してください。

治療

つまんで除去できますが、痛みを抑えるために安全な麻酔テープなどを使用します。

とびひ(伝染性膿痂疹)

擦り傷などごく軽い傷に黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などが感染したもので、水疱ができ、強い痒みが起こります。周辺や離れた場所に飛び火するように広がるため「とびひ」とつけられたとされています。

治療

細菌感染なので抗生物質の内服と外用が効果的です。外用薬を塗った後は患部をおおうことで感染が広がるのを防ぐ効果を見込めます。
なお、一般的な抗生物質が効きにくい菌が原因となっていることも最近では増えてきており、様子を見て抗生物質を見直す必要が出てくるケースもよくあります。改善しない場合には、数日後に再診してください。

水虫

水虫は白癬菌という真菌(カビ)が起こす病気です。白癬菌が増殖を開始すると、それを排除するために激しい炎症を起こし、強い痒みを引き起こします。これが急性期です。やがて慢性期に入ると痒みは収まりますが、治ったわけではなく、家族などにうつしてしまう可能性があります。爪が変形する爪水虫もあります。

治療

最近は爪水虫を治せる塗り薬も登場しています。ただし、足水虫、爪水虫ともに、適切に使用しないと治りません。症状のある部分だけでなく、両足にまんべんなく、足の指の間などもしっかり塗る必要があります。また、症状が消えてから2ヶ月以上、塗り続けないと再発してしまいます。
入浴の際にはすみずみまで丁寧に洗い、水気をよくとってから薬を塗ります。清潔と乾燥を保つことは再発防止にも効果的です。

ウイルス感染

単純ヘルペス

単純ヘルペスウイルスの感染が原因です。赤みと腫れの後に小さい水疱の集まりができますが、その前に違和感や痒みなどが起こる場合もあります。生じる場所は唇、眼瞼、指、性器などで、口の中にできることもあります。成人の場合、口唇ヘルペスが最も頻度が多くなっています。

治療

違和感や痒みのあった初期段階で治療を受けると、症状が軽くすむケースが多く、治療期間も短縮できる可能性があります。抗ウイルス薬の外用剤や内服薬を使用します。

帯状疱疹

水ぼうそうウイルスによって発症します。子どもの頃にかかったときにウイルスが神経節に潜み、何かのきっかけで活性化して症状を起こします。小水疱が帯状に現れるためこの名前がつきましたが、初期には水疱が生じないケースもあります。ウイルスが再度活性化するきっかけは、疲労やストレス、免疫低下などとされています。体の片側に症状や痛みが起こる場合が多く、病変が冷えると痛みが悪化し、病変を温めると痛みが楽になります。治療が遅れると、その痛みが長く残る帯状疱疹後神経痛が起こります。

治療

基本的に抗ウイルス薬の内服や点滴を行い、痛みには消炎鎮痛剤や神経の回復を促す薬を用います。帯状疱疹後神経痛は、日常生活に大きな影響を及ぼすので、発疹出現後3日以内に受診しましょう。

Tel.047-306-7878ご予約サイト
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